スター・ウォーズ世界におけるミディ=クロリアンとフォースの哲学

スター・ウォーズシリーズの中で、物語の核心を成す概念のひとつが「フォース」です。そのフォースの科学的な側面を説明するものとして登場するのが「ミディ=クロリアン(Midi-Chlorians)」です。この記事では、このミディ=クロリアンという単語が持つ深い意味と、スター・ウォーズシリーズ全体における役割、さらには現実世界の科学的理論や哲学との関連性について深掘りしていきます。

フォースとは何か?

「フォース」とは「スター・ウォーズ」シリーズに登場するエネルギー体で、フォース=センシティブ(フォース感知者)が使うことができる超常的な能力です。「ミディ=クロリアン」というあらゆる細胞内に共生する微生物の含有値が、その能力の強さに影響を及ぼします。 ファースは銀河万物あまねくすべてを包摂するもので、ライトサイドのジェダイとダークサイドのシスによって日常生活から戦闘まで、幅広い用途で使用されています。ジェダイとシスの双方によってフォースの研究が行われ、様々な使用方法が編み出されてきました。

ミディ=クロリアンとは何か?

「ミディ=クロリアン」という言葉が初めて登場するのは、『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』です。この映画の中で、クワイ=ガン・ジンがアナキン・スカイウォーカーの血液サンプルを分析し、彼が驚異的な数のミディ=クロリアンを持っていることを発見するシーンがあります。

ミディ=クロリアンは、すべての生命体の細胞内に共生している知的な微生物とされています。そして、これを多く持つ者ほどフォースを感じ取り、操る能力に優れていると言われています。クワイ=ガン・ジンはミディ=クロリアンについて次のように説明しました。

「ミディ=クロリアンは、すべての生命体の細胞内に共生している微生物だ。彼らはフォースの意思を我々に伝える仲介者なんだ。」

一般的な人間のミディ=クロリアン数は1細胞あたり2,500未満とされますが、アナキン・スカイウォーカーはなんと20,000を超える数値を持っていました。これは通常のジェダイの数値を大きく上回り、彼が「選ばれし者」であることを示唆しています。

ジョージ・ルーカスの宇宙観とミディ=クロリアン

スター・ウォーズの生みの親であるジョージ・ルーカスは、ミディ=クロリアンを単なるSF的な設定ではなく、宇宙の本質を象徴する存在として描きました。彼はインタビューの中で次のように語っています。

「次の三部作では、微生物叢の世界を掘り下げるつもりだった。我々とは異なる存在が宇宙を支配している。その存在を私はホイルスと呼んだ。」

ここでルーカスが語った「ホイルス」という存在は、フォースそのものを操る支配者的な存在として描かれる予定だったと言われています。この考え方は、我々の現実世界における「利己的遺伝子論」とも共通する側面があります。

利己的遺伝子論との類似性

1976年、イギリスの動物行動学者リチャード・ドーキンスが『The Selfish Gene』(邦題『利己的な遺伝子』)を発表しました。この理論では、生物個体の行動は遺伝子の自己複製を目的としていると説明されます。

ドーキンスは次のように述べています。

「我々は遺伝子の乗り物に過ぎない。遺伝子こそが生物を支配する本当の存在であり、我々の行動はその指示に従っているだけなのだ。」

この理論は、個体が自らの意思で行動していると考える従来の常識を覆しました。生物は生き残るために利己的な行動をとるようプログラムされており、その目的は単純に「自らの遺伝子を次世代に残す」ことです。

この利己的遺伝子論は、ミディ=クロリアンがフォースを媒介する存在であるというスター・ウォーズの設定と非常に似ています。すなわち、ミディ=クロリアンは生命体の体内でフォースとつながり、その意志を伝える存在でありながら、実際には我々を支配しているとも言えます。

ミディ=クロリアンとダーウィンの進化論

チャールズ・ダーウィンは「適者生存」という概念を提唱しました。これはその環境に最も適応した生物が生き残るという理論です。強い者が生き残るわけではなく、環境の変化にうまく対応できた者が繁栄します。

スター・ウォーズのフォースも同様に、善悪や光と闇の二面性を持ちながら、そのバランスを保つことが重要であるとされます。ジェダイはライトサイドの象徴であり、調和と慈悲を重んじますが、シスはダークサイドを通じて怒りや欲望を力に変えます。これらの対立は、ダーウィンの進化論における生存競争の概念にも共通する要素を見出すことができます。

フォースの哲学と現実世界の教訓

スター・ウォーズにおけるフォースは、単なる超能力や魔法のような力ではありません。それは宇宙の根本的な法則であり、生命そのものの象徴です。ライトサイドとダークサイドという二つの側面があり、バランスが重要とされるこの哲学は、現実世界でも多くの教訓をもたらします。

例えば、新型コロナウイルスなどの微生物も、現実世界において見えないながらも強力な影響を持つ存在です。これをミディ=クロリアンと比較すると、両者には共通点があると言えます。ウイルスは善悪どちらにも転じ得る中立的な存在であり、我々がどのように対処するかによってその影響が変わります。

新型コロナウイルスがもたらしたパンデミックの経験は、私たちに見えない力とどう向き合うべきかを考えさせました。ミディ=クロリアンがフォースの媒介者として重要な役割を果たすように、現実世界でもウイルスや細菌といった微生物が生命活動に深く関わっています。

結び:ミディ=クロリアンのメッセージ

ミディ=クロリアンはスター・ウォーズの設定の中で、単なるSF的な概念に留まりません。それは私たちの現実世界に対する深い洞察を与えてくれる存在です。見えないものの中に潜む力、そのバランスを保つことの重要性、そして宇宙の根本的な法則に対する理解を深める手助けをしてくれます。

スター・ウォーズを再び観るとき、ぜひミディ=クロリアンという存在にもう一度注目してみてください。それは単なる映画の設定を超えた、新しい視点を与えてくれることでしょう。

詳しくは、新刊『弥勒の方舟 ~地球人が消える時~』に記載があります。

申込は、こちらから↓↓↓

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です