多次元宇宙論における時間軸の概念は、理論の種類によって異なります。
大きく分けると、「時間が無数に存在する可能性」と「時間は一定で、どの宇宙も同じ流れを持つ」**という2つの考え方があります。
🔹 1. 時間軸が無数に存在する場合
この場合、宇宙ごとに異なる時間の流れや構造を持つ可能性があります。
① 超弦理論・M理論に基づく多次元宇宙
- 11次元時空を仮定する M理論 では、時間軸は1本だけとは限らず、宇宙ごとに異なる時間構造を持つ可能性がある。
- 「高次元に時間が存在する」場合、異なるブレーン(宇宙)ごとに独立した時間があるかもしれない。
- 時間が複数ある(多時間次元)とすると、並行する宇宙同士で異なる時間の進み方をする可能性がある。
② 量子重力理論(ループ量子重力)
- 時間が量子化されており、宇宙ごとに異なる時間の性質を持つ可能性がある。
- 時間の概念自体が「相対的」になり、宇宙Aと宇宙Bで時間の進み方が異なることもあり得る。
▶ 結果:
宇宙ごとに異なる時間軸がある可能性がある。
一つの宇宙では時間が一直線に流れていても、別の宇宙ではまったく異なる流れ方をしているかもしれない。
🔹 2. 時間軸は一定で、どの宇宙も同じ流れを持つ場合
この考え方では、すべての宇宙が 「同じ大きな時間軸」 に従って進むとされます。
① ブレーンワールド理論
- 時間はすべての宇宙で共通であり、高次元空間全体で統一された時間が流れる可能性がある。
- たとえば、異なるブレーン上の宇宙が並行して存在しても、時間は共通の次元に属するため、すべての宇宙が同じ時間の流れに従う可能性がある。
- ただし、ブレーン同士の相互作用(衝突など)によって、時間の流れが変わることもあり得る。
② エキピロティック宇宙論
- ビッグバンは「異なるブレーン同士の衝突」によって発生したとする理論。
- 時間はすべてのブレーンに共通して存在し、宇宙が誕生・消滅しても時間軸そのものは維持されると考える。
▶ 結果:
時間は一定で、どの宇宙も共通の時間の流れを持つ可能性がある。
たとえば「異なる宇宙が並行して存在していても、それらはすべて同じ時間軸上にある」というイメージ。
🔹 まとめ
理論 | 時間軸の考え方 |
---|---|
超弦理論・M理論 | 宇宙ごとに異なる時間があり得る |
量子重力理論 | 時間の進み方が宇宙ごとに異なる可能性がある |
ブレーンワールド理論 | すべての宇宙に共通の時間が流れる可能性がある |
エキピロティック宇宙論 | すべての宇宙は共通の時間軸を持つ |
🔹 結論
- 時間軸が無数に存在する可能性もあるし、一定である可能性もある。
- どちらが正しいかは、まだ物理的な証明がない。
- もし「高次元空間に独自の時間がある」とすれば、宇宙ごとに異なる時間の流れがある可能性が高い。
- 逆に、「時間は1本しかなく、すべての宇宙が同じ時間軸を共有している」とする理論も有力。
どちらの考え方が現実に近いのか、今後の物理学の発展によって決まることになります。