パスタやラーメンを食べるとお腹の調子が悪くなるのに、うどんやそうめんでは問題がない…そんな経験をしたことはありませんか?
実は、この違いには小麦の種類や調理方法が関係している可能性があります。この記事では、その理由を詳しく解説し、対策についても考えていきます。
1. 小麦の種類の違い
パスタやラーメンには、グルテン含有量の多い小麦粉が使われています。
- パスタ:デュラム小麦(高たんぱく質でグルテンが多い)
- ラーメン:強力粉(グルテン含有量が多い)
- うどんやそうめん:中力粉・薄力粉(グルテンが少なめ)
グルテンに敏感な体質の人は、パスタやラーメンを食べると消化に負担がかかり、腹痛や下痢を引き起こすことがあります。
メリケン粉とは?
・「アメリカン(American)」がなまった言葉で、主にアメリカ産の小麦粉を指します。
・戦前の日本では、輸入された薄力粉を「メリケン粉」と呼ぶことが一般的でした。
・特にお好み焼き、たこ焼き、うどんなどの粉もの文化でよく使われる名称。
小麦粉とは?
・小麦を挽いた粉の総称で、薄力粉・中力粉・強力粉に分類されます。
・薄力粉:ケーキ、クッキー、天ぷら衣
・中力粉:うどん、たこ焼き(関西ではメリケン粉と混同されることも)
・強力粉:パン、餃子の皮
違いのまとめ
🔹 「メリケン粉」=主に薄力粉(アメリカ産のイメージ)
🔹 「小麦粉」=薄力・中力・強力粉の総称
🔹 小麦粉は、タンパク質(グルテン)が8~12%、炭水化物(デンプン)が72~76%
🔹 片栗粉は、タンパク質(グルテン)は含まれず、炭水化物(デンプン)が100%
※現在では「メリケン粉」という呼び方は少なくなり、一般的に「小麦粉」として分類されていますが、関西では今でもお好み焼きやたこ焼きの粉として「メリケン粉」という言葉が使われることがあります。
小麦のタンパク質は、主に「グルテン」です。ちなみに、小麦の炭水化物は、主に「デンプン」です。
薄力粉:グルテン少ない ⇒ あんまり弾力ない
強力粉:グルテン多い ⇒ モチモチ、弾力あり
中力粉:その中間くらい
<グルテンとは>
タンパク質のうち、ほとんど( 約85%)は「グリアジン」と「グルテニン」です。
「グルテン」は、「グリアジン」と「グルテニン」という物質が絡み合ってできています。
グリアジン・・・弾力は弱いが伸びやすい
グルテニン・・・弾力は強いが伸びにくい
「グルテニン」と「グリアジン」、2つが結びつくことによって、適度に弾力があり、伸びやすい性質を持った「グルテン」ができます!
小麦を粉砕して(小麦粉として)利用するのは、「グルテン」を形成しやすくするためです。
この「グルテン」の特性のおかげで、ふっくらもちもちしたパンや、こしのあるうどんから、さくっとしたクッキーまで、 小麦粉は多様な料理に利用されています。


引用
https://mikakukyokai.net/2015/09/13/cup-ramen/
https://mikakukyokai.net/2017/04/12/flour/
2. ラーメン特有の「かん水」の影響
ラーメンの麺には「かん水」と呼ばれるアルカリ性の添加物が使われています。
- かん水の特徴
- 麺のコシを強くし、独特の風味を出す
- アルカリ性のため、胃腸が敏感な人には刺激が強い
このため、ラーメンを食べるとお腹の調子が悪くなることがあります。
3. 調理方法の違いと油の影響
パスタやラーメンは、油を多く使う料理が多いのが特徴です。
- パスタ:バターやオイルを使用することが多い
- ラーメン:ラードや背脂を使うことがある
- うどん・そうめん:基本的に油を使わず、シンプルなだしで食べる
油分が多い食事は消化に時間がかかり、胃腸に負担をかけるため、消化不良を起こしやすくなります。
4. 消化時間の違い
小麦の種類や調理方法により、消化にかかる時間にも差があります。
- パスタやラーメン:グルテン量が多く、消化に時間がかかる
- うどんやそうめん:水分を多く含み、比較的消化しやすい
消化が遅いと胃腸に負担がかかり、お腹を壊しやすくなります。
5. 男性特有の問題?
「男性の方が胃腸が弱い」という科学的な証拠はありませんが、食習慣が影響している可能性があります。
- 男性の傾向
- 早食い、大食い
- 脂っこいものを好む
- ストレスを溜めやすい
一方で、女性は消化器系のトラブルがあってもあまり口にしないため、表に出にくいだけかもしれません。
胃腸に優しい食生活のための対策
✅ 低グルテン食品を選ぶ
- 低グルテンパスタや米粉の麺を試してみる
✅ かん水不使用の麺を選ぶ
- うどん風のラーメンなどを試してみる
✅ 腸内環境を整える
- ヨーグルトやぬか漬けなどの発酵食品を摂取する
✅ 油分の少ない調理法を選ぶ
- トマトソースよりも和風だし系のパスタを選ぶ
胃腸が弱い人とIBS・大腸がんの関係
胃腸が弱いこと自体が病気を引き起こすわけではありませんが、腸内環境の悪化がIBS(過敏性腸症候群)や大腸がんのリスクを高める可能性があります。
1. IBSとの関連
✅ 胃腸の敏感さ:IBSは腸の神経が過敏になり、ストレスや食事の影響を受けやすい
✅ グルテンやFODMAP食品の影響:消化しにくい食品がIBSの症状を悪化させることがある
✅ ストレスとの関係:ストレスは腸の動きを乱し、症状を悪化させる
2. 大腸がんとの関連
✅ 慢性的な腸の炎症:炎症が続くと細胞が変異し、発がんリスクが高まる
✅ 腸内細菌バランスの乱れ:悪玉菌が増えると発がん物質が発生しやすくなる
✅ 食生活の影響:加工食品や脂っこいものの過剰摂取はリスクを高める
結論
✔ 胃腸が弱いこと自体が病気を引き起こすわけではない
✔ ただし、腸内環境の悪化や炎症の慢性化は、IBSや大腸がんのリスクを高める可能性がある
✔ 発酵食品・食物繊維を意識し、ストレス管理をすることでリスクを下げられる
皆さんも、自分の体質に合った食事を心がけて、快適な食生活を送りましょう!