アブラハム・マズローが提唱した欲求5段階説は、心理学の分野で広く知られています。
この理論は、人間の欲求を5つの階層に分類し、それぞれが階段のように積み重なっているという考え方です。
しかし、近年では6つ目の欲求についても議論されています。
本記事では、マズローの基本理論を解説し、6つ目の欲求がどのようにその枠組みに加えられるのかを考えます。

1. マズローの欲求5段階説の概要
マズローの欲求5段階説は、以下の5つの欲求で構成されています。
- 生理的欲求
- 食事、睡眠、呼吸など、生存に不可欠な基本的な欲求。
- 安全の欲求
- 住居、経済的安定、健康など、危険から身を守るための欲求。
- 社会的欲求(愛と所属の欲求)
- 家族、友人、恋愛など、他者とのつながりを求める欲求。
- 承認の欲求
- 他者からの尊敬や自己評価の向上を求める欲求。
- 自己実現の欲求
- 自分の潜在能力を最大限に発揮し、理想の自分に近づく欲求。
この理論では、下位の欲求が満たされると次の段階へと進むとされています。例えば、食事や住居が確保されていない状態では、自己実現の欲求に取り組むことは難しいとされています。
2. 欲求5段階説の現代的解釈
マズローの理論は、その後の研究や実践の中でいくつかの批判や修正が加えられてきました。特に注目されるのは、欲求の階層が固定的ではなく、柔軟に変化するという点です。
例えば、社会的欲求が満たされていない状態でも、承認の欲求や自己実現の欲求に取り組む人がいます。また、文化や個人の価値観によって欲求の優先順位が異なる場合もあります。現代社会では、デジタル技術の進化やグローバル化により、新たな欲求が生まれていると指摘されています。
3. 6つ目の欲求:自己超越の欲求
マズローの後期の研究では、5段階説にもう1つの欲求が加えられる可能性が示唆されました。それが「自己超越の欲求」です。
自己超越の欲求とは
自己超越の欲求とは、自分自身の枠を超えて他者や社会、宇宙全体に貢献したいという欲求を指します。具体的には、以下のような行動や価値観が挙げられます。
- 他者の幸福や成長を支援する
- 社会的な問題解決に取り組む
- 宗教的・スピリチュアルな探求
- 自然や宇宙との一体感を感じる
自己超越の欲求の重要性
この欲求は、自己実現の欲求を超えた次元に位置づけられます。自己実現が「自分自身を最大限に活かすこと」であるのに対し、自己超越は「他者や社会全体のために自分を活かすこと」に焦点を当てています。この視点は、現代のリーダーシップや社会的責任においても重要視されています。
4. 6つ目の欲求を満たす方法
マズローいわく「自己超越」の領域に達することができるのは全人類の2%程度だと、第6の欲求の実現を目指すのは稀なケースとされています。
皆さんは、この6つの目の自己超越の欲求を満たすには何が必要だと考えますか?
5. 現代社会における自己超越の欲求の意義
グローバル化やテクノロジーの進化により、現代社会では多様な問題が顕在化しています。環境問題や社会的不平等、精神的な孤立などがその例です。こうした問題に取り組むためには、個人が自己超越の欲求を持つことが不可欠です。
例えば、気候変動に対する行動を起こす人々や、社会的企業を立ち上げる起業家たちは、自己超越の欲求を体現していると言えます。これらの人々は、自分自身の利益を超えて、より大きな目的のために行動しています。
6. 自己超越と幸福感の関係
研究によると、自己超越の欲求を満たすことは、深い幸福感や満足感につながるとされています。これは、他者や社会とのつながりを感じることで、人間が本来持つ社会的な本能が満たされるためです。
また、自己超越の欲求を追求することで、ストレスや不安が軽減されるという効果もあります。自分自身の問題にとらわれず、広い視点で物事を見ることで、心の平穏を得られるからです。
7. 結論:マズローの理論の未来
マズローの欲求5段階説は、現代社会でもなお有用な理論です。しかし、6つ目の欲求である自己超越の欲求を加えることで、この理論はさらに深みを増します。個人の成長だけでなく、社会全体の発展にも寄与する可能性が広がるのです。
私たち一人ひとりが自己超越の欲求を意識し、実践することで、より良い未来を築くことができるでしょう。これからの時代、マズローの理論は新たな解釈とともに進化し続けることでしょう。
マズローはワタシも学生の時に学習しましたが、時代とともにこの理論の解釈が違ってくるということだけでなく、進化している! 理論って生きているのですね